新型機開発の続きです。
【主翼】
ワタクシの機体はなぜかスパイラル安定性が低く、乱れた気流やサーマルから弾かれた際、あるいは失投状態でスパイラルに入ってしまうことが多いです。
スパイラルモードに入る前の段階でえぐるような急旋回で姿勢回復させるトップフライヤーとの差が明確にあり、 「残念な結果」 に終わることが多かったです。
この原因と対策をいろいろ探り、悩んできました。 対処療法として重心を後ろ設定にしてみたり、 外翼の上反角を大きくしてみたり、迎角を大きくしてみたり。。。それでも大きな改善は見られませんでした。
これがずっと悩ませてきた大きな課題なのです。
原因はなんだろう?
色々な文献やネット情報 トップフライヤーのレポート等を漁りまくった結果、たどり着いた結論は「翼端失速」 でした。 (意外と平凡な原因)
定常滑空時の範囲では失速は起きていなさそうなのですが、 機軸方向から少しずれた角度から相対風が来た場合、 大きな上反角の影響で外翼の迎角が極端に大きくなり、上面の全剥離状態が発現するということです。下面側の正圧は引き続いて発生してはいるものの、剥離による抵抗成分が大きくなるためにドラッグラダーのような恰好でどんどん旋回半径を小さくする方向に機首を振ってしまうことが原因であると特定しました。
原因を特定したことで、 対策方法も明確になりました。
(0) 外翼にねじり下げをつける
(1) 外翼に後退角をつける
(2) 後退角に沿って正確にキャンバーをつける
このうちねじり下げは外翼を内翼平面内で回転させて取り付けることで実現するのですが、 組立後の管理として必要な 「ゆがみチェック」 が実施しにくくなることから不採用とし、 外翼に後退角 (5°)をつけ、この後退角に沿った正確なキャンバーがつけられるような治具による成型としました。
さらに、翼型について、下面側キャンバーのふくらみを抑えつつ前縁のそぎ上げを維持するために小さな折筋を入れ、 「アゴ」 を形成ました。
(後に発現した課題のために結果的に取りやめました)
【試作1号機】
ボディは組立後の寸法的な課題解消のために型紙寸法を修正して作り直し、 主翼は上記試作翼を取り付けました。 50 投近く飛ばした結果、 懸念していたスパ
イラル安定性はかなり向上していることが確認でき、安心感も高まりました。 でも残念ながらスパイラルダイブを「ゼロ」 にすることが出来なかったため、さらなる改善が必要であると感じています。
多くの方のHLGはもっと大きな後退角をつけているので、そこら辺が継続検討項目であると考えています。
一方、発進直後からの速度低下が大きく、あまり獲得高度が高くない感じを受けました。現場で「アゴ」部分を少しずつ潰していくと改善されていく感じを受けたので、次の試作からは 「アゴ」 の形成を取りやめました。
滑空姿勢は、 モーメントアーム拡大 (20mm)の影響でピッチ安定性能が増大しました。
【V尾翼】
試作1号機の特徴 (機体固有の特徴) は旋回半径が大きく、ラダーを深く切る必要がありました。 その結果、 発進時のバレルロールが大きく、 これも獲得高度を上げられない原因と考えました。
そこで対策として、 V尾翼のスタブチルト設定を試みました。 V尾翼は単純水平尾翼と比較してスタブチルトによる旋回効果が小さいので、大胆にチルト角度を設定してラダーを切る量を減少させる「トライアル」 を実施することにしました。次の試作では、スタブチルトを10°に設定して組み立ててみることにします。
また、V尾翼の相対開き角度は136°(23年)、144° (24年)と変えてきており、144° では広げすぎによる垂直容積不足が感じられたので その中間として140°としました。
(これ以上は、もう悩まない!)
試作0号機、1号機のテスト結果を踏まえて、次は量産を意識した試作機に反映します。
投稿その3に続きます。
0 件のコメント:
コメントを投稿